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国が認めた借金救済制度とは?

2024.05.01

借金問題でお悩みの方の中には、インターネットなどで「国が認めた借金救済制度」という広告を見かけた方かいらっしゃるのではないでしょうか。

合法的に借金をなくせる制度があるのなら利用したいけれど、怪しいものではないのか、と不安に思っている方も多いことでしょう。

今回は、「国が認めた借金救済制度」とは具体的にどのような制度なのか、利用しても問題ないのかについてご説明します。

広告でよく見る「国が認めた借金救済制度」とは

救済制度とは?

「国が認めた借金救済制度」とは、要するに債務整理のことを指します。

債務整理とは、法律に則って借金の減額や免除を認めてもらい、その結果として債務者が救済される手続きです。国が定めた法律に則って債務者を救済することができるので、「国が認めた借金救済制度」と呼ばれることもあります。

ただ、債務整理は古くからある制度であり、特に目新しいものではありません。近年になって「国が認めた借金救済制度」という言葉がよく使われるようになった理由は、弁護士や司法書士の広告の自由化に伴い、債務整理の依頼者を広く募って利益を上げようとする事務所が増えたからです。

「国が認めた」「救済制度」といった表現を用いると、それを見た債務者は何か裏技のような解決方法があるのかと感じ、関心を持つことでしょう。広告主はこのような債務者の心理に訴えて、集客につなげようとしているのです。

債務整理の種類

債務整理イメージ

債務整理には、主に自己破産、個人再生、任意整理、過払い金請求という4種類の手続きがあります。

1 自己破産

自己破産は、多額の借金を返済できなくなった場合に、裁判所の決定によって返済義務がすべて免除される手続きです。

ただし、高価な財産を保有している場合は、換金して債権者への配当に充てられることがあります。

一部の職種では、自己破産の手続き中は仕事ができないというデメリットもあります。

また、浪費やギャンブルで借金を作った場合などは「免責不許可事由」に該当するため、借金の免除が認められないケースがあることにも注意が必要です。

到底返済できないほど多額の借金を抱えた場合で、以上の問題がない人であれば、自己破産が向いています。

【参考】自己破産をお考えの方へ

2 個人再生

個人再生は、裁判所の決定によって借金を大幅に減額する手続きです。基本的に借金総額が5分の1から10分の1程度にまで減額され、減額後の借金を原則3年、最長5年の分割で返済していきます。

個人再生では、原則として財産を処分する必要はありません。一定の条件を満たせば、住宅ローンが残っている自宅を残すことも可能です。職業制限や免責不許可事由がないことも、自己破産とは異なるメリットです。

多額の借金を抱えた場合で、残したい財産がある場合や、自己破産をすると仕事を辞めなければならないケースなどでは、個人再生が向いています。

【参考】個人再生とは

3 任意整理

任意整理は、裁判所を介さず、債権者と直接交渉して借金の減額や支払期限の延長を認めてもらう手続きです。今後の利息をカットしてもらい、残元金を3年~5年の分割で返済するのが一般的です。

利息制限法所定の上限利率を超える高金利で借りていた期間がある場合には、払い過ぎた利息を元本に充当することで、元金を減らせるケースもあります。

任意整理でも財産を処分する必要はありませんし、仕事にも影響はありません。

さらに、自己破産や個人再生とは異なり、整理する借金を自由に選べるというメリットもあります。ローンが残っている財産があったり、保証人がついている借金があったりする場合は、その債権者を除外して任意整理をすることも可能です。

ただし、任意整理では、大幅な借金の減額や免除は期待できないことが多いです。そのため、借金総額が膨らんでしまった後では、任意整理による解決は難しいこともあります。

【参考】任意整理とは

4 過払い金請求

過払い金請求とは、払い過ぎた利息を取り戻す手続きのことです。

かつて、消費者金融やクレジットカード会社の多くは、グレーゾーン金利で貸し付けを行っていました。グレーゾーン金利とは、利息制限法所定の上限利率を超えるものの、出資法所定の上限利率は超えないため罰則が適用されない金利のことです。

グレーゾーン金利で借りていた場合には、すべての取引を利息制限法所定の利率に引き直す計算をします。利息制限法所定の利率を超えて支払った利息があれば、元本への充当が認められます。

元本に充当しきれない利息があれば、これが「過払い金」となり、借入先に対して返還を請求できます。過払い金が発生せず、残った元本が大きい場合には、任意整理などの債務整理を検討することになるでしょう。

なお、2010年6月18日以降は、法改正によりグレーゾーン金利が撤廃されたため、その後の取引からは過払い金が発生しなくなっています。それより前の2007年頃までに、消費者金融やクレジットカード会社の多くは、自主的に金利を利息制限法の範囲内に引き下げました。

したがって、過払い金が発生している可能性が高いのは、2007年以前にグレーゾーン金利で借金をしていた方です。もっとも、過払い金が発生していても、最後の取引から10年が経過すると時効が成立するため、過払い金請求は認められなくなります。

心当たりがある方は、早めに弁護士へ相談するなどして、過払い金請求を検討した方がよいでしょう。

【参考】過払い金返還請求を依頼するための必要書類

報道でも問題となっている「国が認めた借金救済制度」

債務整理そのものは決して怪しいものではありませんが、「国が認めた借金救済制度」という広告を打っている業者の中には怪しい団体もあるので、注意が必要です。

なかには、一般の企業などが「国が認めた借金救済制度」という広告を打って債務者からの依頼を集めているケースもあります。債務整理が得意な法律事務所を紹介すると謳っておきながら、実際には自社の社員が無資格で債務整理手続きを行い、多額の費用を請求するという事例もありました。

債務整理手続きを代行できるのは、資格を持った弁護士・司法書士だけです。無資格で債務整理手続きを代行することは、弁護士法違反にあたります。弁護士法違反による被害事例が複数、報道されていた時期もあるので、記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「国が認めた借金救済制度」という広告を見たら、必ず広告主はどこかを確認してください。もし、弁護士・司法書士の事務所以外の企業や団体が広告主となっていたら、連絡するのは控えた方がよいでしょう。

弁護士・司法書士の広告だから安心というわけではない!

弁護士・司法書士の事務所が広告を出している場合でも、無条件に信頼できるわけではないのが実情です。最近の報道では、弁護士・司法書士の事務所の中にも誇大広告をしているケースがあることが明らかとなっています。

「必ず借金をなくせる」などの誇大表現を信じて債務整理を依頼したところ、思うように借金が減らなかったり、依頼費用の負担が重いため解決できなかったりした、などの被害が多発しているとのことです。

一般的に信頼できる弁護士・司法書士の事務所は、広告を出すとしても「国が認めた借金救済制度」といった表現は使わないものです。このような表現は、都合よく簡単に借金をなくせるという誤解を生みやすいからです。

債務整理には借金を減免できるメリットがある反面で、いくつかのデメリットもあります。信頼できる事務所は、メリットとデメリットの両方を説明した上で、ご相談者が納得した場合のみ依頼を引き受けます。

広告で「国が認めた借金救済制度」といったフレーズを強調している事務所へのご相談をお考えの方は、その事務所の口コミや評判を十分に確認した方がよいかもしれません。

地元群馬で借金にお悩みなら、直接会える地元の弁護士へ

集合写真

誇大広告を出す事務所では、ご依頼者が弁護士や司法書士と一度も会うことなく、電話やメールのみで手続きが進められることも多いです。

借金問題を適切に解決するためには、弁護士・司法書士と直接会って状況に合ったアドバイスを受けることが大切です。

群馬県および近隣地域で借金問題にお悩みの方は、ぜひ一度、地元の山本総合法律事務所へご相談ください。当事務所では、債務整理に関する実績が豊富な弁護士が直接お会いし、解決まで親身にサポートいたします。