目次
知らない会社から突然督促状が届くと、驚くとともに「怪しい」と感じてしまうことでしょう。
しかし、送り主が債権回収会社(サービサー)である場合は、滞納している借金やクレジットカード代金などについて、正当な請求が行われている可能性が高いです。
その場合、督促状を無視すると、最終的には裁判や差押えにまで発展するおそれがあります。
今回は、債権回収会社とは何か、督促状が届いたらどうすればよいのかについてご説明します。
債権回収会社とは
債権回収会社とは、金融機関や貸金業者、クレジットカード会社などから未回収の債権を譲り受けたり、委託を受けたりして、債権の管理回収業務を専門に行う会社のことです。
本来、第三者から報酬を得て債権の管理回収業務を行うことは、弁護士にしか許されていません。
しかし、その例外として、「債権管理回収業に関する特別処置法(通称:サービサー法)」で定められた一定の条件を満たす会社については、法務大臣の許可を受けて債権の管理回収業務を営むことが認められています。
近年、金融機関や貸金業者、クレジットカード会社の中には、滞納した顧客からの取り立てを自社で行うのではなく、プロである債権回収会社に任せるところが増えてきています。
その際、事前に顧客に対して「○○債権回収会社から督促を行います」などと連絡するケースは、あまりありません。そのため、滞納した顧客は知らない会社からの督促状を突然受け取ることになり、驚いてしまうのです。
代表的な債権回収会社
サービサー法は1999年から施行されている法律であり、以来、現在までに数多くの債権回収会社が法務大臣の許可を受けて設立されました。
ここでは、現在も営業している代表的な債権回収会社をいくつかご紹介します。
- 日本債権回収株式会社(法務大臣許可番号第2号)
- アビリオ債権回収株式会社(法務大臣許可番号第5号)
- ニッテレ債権回収株式会社(法務大臣許可番号第7号)
- 株式会社整理回収機構(法務大臣許可番号第9号)
- SMBC債権回収株式会社(法務大臣許可番号第10号)
- オリックス債権回収株式会社(法務大臣許可番号第11号)
- ジャックス債権回収サービス株式会社(法務大臣許可番号第21号)
- あおぞら債権回収株式会社(法務大臣許可番号第22号)
- エー・シー・エス債権管理回収株式会社(法務大臣許可番号第27号)
- エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社(法務大臣許可番号第28号)
なお、2024年11月5日時点で、債権回収会社は73社あります。上記以外の会社から督促状が届くこともありますので、ご注意ください。
【参考】【債務整理の種類】どんな債務整理方法が自分に合っているか知りたい
督促状は無視しても良い?
滞納している借金やクレジットカード代金などについて、債権回収会社から督促状が届いた場合は、決して無視してはいけません。
既に滞納しているため遅延損害金が加算され、放置すればするほど返済額が増大していき、返済が困難になっていきます。
さらに放置し続けると、裁判所から支払督促や訴状といった書類が届くこともあります。
裁判所から届いた書類を放置すると、債権回収会社の主張をすべて認めた判決などが確定してしまうことに注意が必要です。
裁判手続きで債務が確定してしまうと、ある日突然、給料や預金を差し押さえられることがあります。
そうなると、生活費に事欠くことにもなりかねません。家族に借金がバレるおそれもあるでしょうし、給料を差し押さえられた場合には、確実に職場の人たちにバレてしまいます。
【参考】自己破産中にやってはいけないこと
債権回収会社から督促状が来たときの対処法
債権回収会社から督促状が来たときの正しい対処法は、以下のとおりです。
詐欺でないかを確認する
最近は債権回収会社の名前をかたった架空請求などの詐欺が多発しているため、まずは詐欺でないかを確認することが重要です。
督促状が届いたら送り主の会社名で検索してホームページにアクセスし、会社名や所在地、電話番号、許可番号などが正しく記載されているかを確認しましょう。
詐欺の督促状には、ほとんどの場合、そもそも架空の会社名が記載されています。
時効が完成していないかを確認する
次に、請求されている元の債務を確認し、その債務について消滅時効が完成していないかを確認しましょう。
金融機関や貸金業者、クレジットカード会社などに対する債務は、最後の取引から5年が経過すると、消滅時効が完成します。
ただし、その間に債務を承認したり、裁判を起こされたりすると時効が更新され、そのときから新たに時効期間が進行し始めることに注意が必要です。裁判で判決などが確定した場合には、新たな時効期間が10年に伸張されることにもご注意ください。
消滅時効が完成している場合には、援用という手続きを行う必要があります。時効を援用するためには、内容証明郵便で「消滅時効援用通知書」を送付するのが一般的です。
払える場合は速やかに払う
うっかり支払い忘れた場合などで、すぐにお金を用意できる場合は、速やかに支払いましょう。
滞納開始後すぐに債権回収会社から督促状が届いた場合には、2~3ヶ月以内に滞納を解消すれば大きな問題にはならないことが多いです。
すぐに払えない場合は折り返し連絡する
すぐに払えない場合は、督促状に記載された電話番号に連絡して支払い方法を相談しましょう。
債権回収会社は強引な取り立てを行う業者ではないので、払えない事情を伝えて誠実に相談すれば、支払い方法の相談には乗ってくれます。
支払期限の延期や分割払いに応じてもらえる可能性も十分にありますので、早めに連絡することが大切です。
払えない場合は債務整理を検討する
支払いのめどが立たない場合には、債務整理による解決を検討した方がよいでしょう。
債務整理には主に次の3種類の手続きがあります。
- 任意整理…債権者と直接交渉することによって利息のカットや返済期限の延長などを認めてもらう手続き
- 個人再生…裁判所の手続きを通じて借金を5分の1~10分の1程度にまで減額してもらい、減額後の借金を原則3年、最長5年で分割返済する手続き
- 自己破産…裁判所の手続きを通じて一定の条件の下に借金の返済義務をすべて免除してもらえる手続き
借金問題をスムーズに解決するためには、ご自身の状況に合った手続きを選択することが重要です。
【参考】債務整理のメリット・デメリットとは?弁護士を選ぶ際のポイントを解説
支払いにお困りの方は弁護士に相談を
債権回収会社から督促された債務の支払いにお困りなら、弁護士へのご相談をおすすめします。
弁護士法人山本総合法律事務所では、年間700件を超える借金問題のご相談が寄せられています。
豊富な専門知識と経験に基づき、あなたの状況に応じて最善の解決方法に導きます。債務整理が必要な場合には、複雑な手続きを一任していただくことが可能です。
一人で悩まず、お気軽にご相談ください。