クレジットカードによるキャッシングを利用していた場合
利率によっては過払いの状態になっている可能性があります。
過払い金返還請求というと、サラ金等の貸金業者からの借り入れの場合に問題になるものだというイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。
しかし、信販会社からのキャッシングであっても、高い利息で貸し付けがされている場合には過払いになっている可能性があります。
過払い金返還請求は、利息制限法を超える利率で金銭の貸し借り等の取引が行われていた場合に、本来支払う義務のあった分を超えて債権者に対して支払った金額の返還を求めるという手続きです。したがって、利息制限法が定める上限を超える利率での取引があったことが必要になります。
この点、利息制限法が定める上限の利率で取引をしていたことがある会社は、貸金業者に限られません。信販会社によるクレジットカードの取引でも、キャッシング取引については、利息制限法の上限を超える利率で取引がされていたことが、かつて多くありました。
したがって、クレジットカードによる取引であっても、過払いの状態になっている可能性がありますし、その場合過払い金返還請求を行うことができます。
手続きの流れに関しても、貸金業者に対して過払い金返還請求を行う場合に比べて、特に違いはありません。まず取引履歴を取り寄せ、その記録に基づいて引き直し計算を行うことで過払い金額を算出して、その金額の返還を相手方に請求していくことになります。
一方、信販会社との取引のうち、ショッピングの取引では、利息制限法の制限内の利率で行われていることから、過払い金が発生することはありません。
クレジットカードのショッピング枠を利用していた場合
キャッシングによる過払い金の額がショッピングの利用残額よりも大きい場合には、過払い金の額とショッピング枠の利用残額を相殺しても過払い金が残るので、過払い金の返還請求をすることが可能です。
クレジットカードのキャッシングを、利息制限法所定の制限利率を超える約定利率で行っており、債務を完済していた場合には、利息を払いすぎていたことになるので、過払い金が発生することになります。
もっとも、クレジットカードのショッピング枠の残債務がある場合、クレジットカード会社が負担する過払い金返還債務と相殺されることになります。それゆえ、過払い金の額が、ショッピング枠の利用残額よりも大きい場合でなければ過払い金の返還を求めることはできません。
なお、携帯電話の利用などにより、ショッピング枠の利用を続けている場合、クレジットカード会社に対するショッピング枠の利用残額が変動することになり、過払い金の額との差額を正確に計算することができません。ですので、過払い金の返還を請求する場合には、ショッピング枠の利用をやめる必要がある点に注意が必要です。
この点、携帯電話の料金などを、クレジットカードで引き落としている場合には、ショッピング枠の利用をやめると携帯電話が利用できなくなるなど、生活に支障が出てしまう可能性があります。このような場合には、過払い金の返還請求手続きを始める前に、自動引き落としをしている取引先に連絡をして支払いに利用するクレジットカードを変更する、あるいは、口座振り替えや振込用紙による支払などに変更する等の方法をとることが考えられます。
ショッピング枠の残債務を返済中の方で、ご自身に過払い金が発生しているとお考えの方は、まずは、過払い金返還請求の実務に精通した弁護士にご相談ください。