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債務整理を依頼する際には、弁護士と直接面談しなければならないという決まりがあることをご存知でしょうか。
しかし、インターネットなどで「国が認める救済制度」と謳った広告を出している法律事務所の中には、直接面談なしで債務整理の依頼受けるところもあるので要注意です。
今回は、債務整理の依頼時に弁護士との直接面談が必要な理由と、信頼できる弁護士の選び方について解説します。
「国が認める救済制度」という表現について
最初に、「国が認める救済制度」という広告の表現には少し問題があることをご説明します。
国が認める救済制度とは、要するに債務整理のことです。
債務整理のうち、自己破産は破産法、個人再生は民事再生法という法律に基づいて手続きが行われます。任意整理も利息制限法などの法律に則って債権者と交渉する手続きです。
このように、債務整理は国が定めた法律に則って借金を減免してもらうことが可能な手続きなので、国が認める救済制度という表現も誤りではありません。
しかし、弁護士は日本弁護士連合会の規程により、次のような広告を出すことを禁止されています。
- 事実に反する広告
- 誤導や誤認のおそれがある広告
- 誇大または過度な期待を抱かせる広告
「国が認める救済制度」と謳う広告を見聞きすると、多くの方は債務整理とは別の、新しい借金問題の解決方法があるのではないかと期待するかもしれません。
債務整理をすると、借金を減免できる反面で、ブラックリストに登録されたり、手続きに種類によっては財産を失ったりなど、さまざまなデメリットが生じます。
「国が認める救済制度」という広告を見聞きした方が、このようなデメリットのない画期的な解決方法があると誤認し、期待したとすれば、この表現は日本弁護士連合会の規程に違反する可能性が高いです。
実際には、債務整理に力を入れている法律事務所が集客を強化する目的で「国が認める救済制度」という謳い文句を使用している例も多いと思いますが、中には悪質業者が集客手段として悪用し、不当な利益を得ているケースもあります。
「国が認める救済制度」という表現の広告を見聞きしたときは、信頼できる法律事務所が発信しているものかどうかを確認することが重要です。
【参考】国が認めた借金救済制度とは?
債務整理の面談実施義務について
次に、債務整理の依頼時に弁護士との直接面談が必要な理由や注意点について、わかりやすく解説します。
直接面談が必要な理由
日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」により、弁護士が債務整理の依頼を受けるに当たっては、依頼者である債務者と自ら面談をしなければならないと定められています。
その理由は、あらかじめ弁護士が詳しい事情を把握しなければ、債務者の借金問題を適切に解決することができないからです。
債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産といった種類の手続きがあり、それぞれに特徴が異なります。また、ケースによっては債務整理を要するかどうかが問題となることもあります。
その中で最適な解決方法を判断するためには、債務者の借入状況や、収入・生活費・資産などの生活状況、債務者本人の意向などを弁護士が詳細に把握することが不可欠です。
電話やメールだけでは詳細な事情が伝わりにくいですし、誤解や行き違いが生じることも少なくありません。
このような観点から、債務整理の依頼時には受任を予定する弁護士が直接面談により、詳細な事情を確認すべきこととされているのです。
オンライン面談は直接面談に当たらない
昨今では通信手段の発達により、オンライン面談(テレビ電話会議システム、Zoom、Teams、Skypeなど)が活用される場面も増えています。
しかし、日本弁護士連合会は2024年4月、オンライン面談による打ち合わせでは面談実施義務を果たしたことにならないという見解を発表しました。
つまり、債務整理を依頼するためには、最低一度は弁護士と債務者が直接会って面談しなければならないということです。
直接面談が不要なケース
日本弁護士連合会の規程では、面談することが困難な特段の事情があるときは、弁護士が直接面談しなくても債務整理の依頼を受けることを認めています。
ここでいう、「特段の事情」としては、債務者の重病や、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言(外出自粛要請)などが考えられます。債務者の多忙や事務所から遠方といった事情は特段の事情には当たらないと考えられますので、注意が必要です。
ただし、特段の事情がある場合でも、当該事情がやんだ後速やかに面談を行うことが必要とされています。
結局、債務整理の依頼時には、最低一度は弁護士との直接面談が必要となります。
債務整理で信頼できる弁護士の選び方
債務整理で信頼できる弁護士を選ぶためには、次の5つのポイントに注意しましょう。
- 債務整理の実績が豊富にあるか
- 親身に対応してくれるか
- 債務整理のデメリットや注意点もわかりやすく説明してくれるか
- 弁護士費用が適正で、明確に説明してくれるか
- 事務所にアクセスしやすいか
債務整理の依頼時には受任を予定する弁護士との直接面談が必要なので、その観点からは、全国展開の大手法律事務所よりも地元の法律事務所を選ぶ方が望ましいといえます。
自己破産や個人再生の手続きは裁判所によって運用が異なる点もあるので、地元の裁判所の運用を熟知した弁護士に依頼した方が、スムーズに手続きを進めやすいというメリットも得られます。
納得のいく結果を得るためには、手続きの進行に応じて弁護士との打ち合わせを重ねることも重要となります。その観点からも、自宅や勤務先などから通いやすい立地の法律事務所を選んで依頼するのがおすすめです。
【参考】債務整理のメリット・デメリットとは?弁護士を選ぶ際のポイントを解説
借金問題のご相談は直接会える地元の弁護士へ
電話やメールでの法律相談や打ち合わせは便利で手軽ですが、やりとりできる情報の量と質に限界があります。
借金問題でお悩みなら、弁護士と直接会って話した方が状況に合った具体的なアドバイスが得られますので、ご相談者・ご依頼者にとっても大きなメリットとなります。
群馬県および近隣地域で借金問題にお悩みの方は、ぜひ一度、地元の山本総合法律事務所へご相談ください。当事務所では、債務整理に関する実績が豊富な弁護士が直接お会いし、解決まで親身にサポートいたします。